昨日のマーケティング・コミュニケーションの授業ではゲストスピーカーとしてキヤノン販売コミュニケーション本部ブランドマネジメントグル−プの細田悦弘さんにお越し頂きました。細田さんはキヤノン・グループ全体のブランド・アンバサダーという存在で社長直轄組織のもとでキヤノンブランドをマネジメントされてる立場にあります。
キヤノングループはキヤノン株式会社とキヤノン販売株式会社を中心として構成されています。両者の関係は生産・商品開発などの業務を担当し、キヤノン販売は販売・マーケティングなどの業務を担当しています。かつてのトヨタ自工とトヨタ自販の関係に近いですね。
ブランドとは何か、言うまでもありませんが、顧客視点での企業価値の総体であり、顧客との約束を守り期待に応え続けることによって維持されるものです。コーポレートブランドということでとらえると、企業文化、企業風土そのものと言えるでしょう。その企業の象徴的なイメージはまさに企業のDNAとも言える部分で、ホンダを例にとるとモーターサイクル、キヤノンではカメラということになります。ブランドの強い会社は従業員の関心が高い傾向にあります。
顧客にとって、このマークが付いている商品は、品質がよいはずだ、サポートがしっかりしている、持っていて羨ましがられるという期待を企業が守り続けることによって築かれてきた無形の財産が知的財産としてのブランドです。経営力・技術力・ブランド力+人的モチベーションを加えた無形の財産の価値を高めることは企業価値を高めることにつながり、それを数値化して考えるとM&A等から自らを守ることにもなります。
ブランドのリスク・マネジメントを考えると顧客との約束を守ることがブランドの原点と考えればいかなる判断ケースにおいてもウソは命取りです。企業姿勢で反感を買うと企業の存亡に関わる問題になります。雪印乳業の一連の不祥事での対応は象徴的なことでした。「私も寝ていないんだ」と当時の社長のコメントが大きな社会的反感を買いましたが、「経営トップを丸腰で出すな」という点でもコーポレート・ブランドのリスク・マネジメントが不十分だったということが言えます。
キヤノンの広告戦略はキヤノン株式会社が企業広告、技術面の広告を担当しキヤノン販売株式会社が商品広告を担当する形になっています。その連動によって最大の効果が出るようにメディアミックス戦略を組み立てていきます。それを行っていくにあたってメディアのソムリエという考え方をあてはめます。
ソムリエは顧客の嗜好、予算、シチュエーションによって適切なワインをすすめます。メディアのソムリエはメディアミックス戦略の立案者でありメディアの買い付けや調整を行うこと行います。ソムリエとしてのアカウンタビリティを果たすことによってメディア、エージェントとの確固たる信頼関係を構築できます
昨日のお話を聞く中でとてもすごいと感じたことは、キヤノンは「宣伝費は投資である、開発費と同じ位置づけである」という考えをもって広告戦略を考えていることです。コーポレート・ブランドをいかに大切に考え、最高レベルの企業財産と位置づけているかを象徴していると思います。たとえB to Bのビジネスでも最終的にはB to B to Cになります。コーポレート・ブランドをもっと意識した経営への取り組みが必要であると感じました。
最後に....
キャノンはキヤノンの表記が正解です。
お話の要約が下手なので読みづらいでしょうけどお許し下さい。