ケチャップでおなじみのカゴメのルーツは愛知県のトマト農家が共同出資でトマトソースを作る事から始まりました。スーパーの店頭でも見かけるこくみトマトもカゴメのトマト作りへのこだわりのを背景に生まれてきたものです。
昨日、夏期集中講義で受講しているマーケティング・コミュニケーションの授業でカゴメのIR戦略の話を聞きました。何故マーケティング・コミュニケーションでIRのお話なの?って思いましたが、そこにはカゴメならではのIR戦略がありました。
IRとは、インベスター・リレーションズ(Investor Relations)の略で、企業が株主や投資家に対し投資判断に必要な企業情報を提供する「投資家向け広報活動」です。IRの主たる対象の株主の構成にカゴメにおけるIRとマーケティング・コミュニケーションを関係づける答がありました。
上場企業の多くは持合金融機関の所有する株式によって株主の安定化をはかっていますが、カゴメの手法は個人株主の持ち株比率を高くして、金融機関による持合株式をなくす方向に進んでいます。これが意味することは、小口の個人株主=カゴメのサポーターを拡大し、その個人株主数はまもなく10万人に達する勢いです。個人株主の持ち株数は発行株数の約70%にもなり、株主の安定化という点においては成果を上げています。
また個人株主=カゴメのサポーターは一般消費者のやく10倍ものカゴメ製品を購入するとのアンケート結果もあります。つまりカゴメのIR戦略はカゴメのコアなサポーターに対するマーケティング・コミュニケーションという構図が現れてきます。
個人株主を株主総会へ出席しやすい工夫をしたり、単元株式の引き下げ、株主優待制度の充実、「カゴメを味わう株主懇親会」の開催などを通して株主化、ファン化へ導き、また如何にしてカゴメに対するロイヤリティを高めていくかを様々な形で考え、取り組んでいます。
こんな形の、一般消費者対象でもない、投資家対象でもない、特殊な形のマーケティング・コミュニケーションが存在するんですね。