先週、授業で学校に行ったときに、同じ時間帯で「革新を生み出す起業家の原動力」ってタイトルでマーケティングを担当するS教授による講演会がありました。その講演レジュメを頂いてきて、帰りの電車で読んだのですが思わず引き込まれました。
ユーレカって言葉を時々耳にします。何の気なしに「どんな意味だろ?」って思いながらも特に調べたりすることはなかったのですが、そのレジュメにユーレカ的発見のお話しがありました。
「ユーレカ的発見とは、アルキメデスがシラクサの王の王冠の黄金の純度を測定する方法を長い研究の末に発見したときの有名な叫び声(eureka)に由来する」(レジュメより)
起業家にはセレンディピティ(Serendipity)が求められて、それに企業家的鋭敏さが発揮されシナジー効果を生み出して、ユーレカ的発見が生まれるんだって。
ちなみに...
・Serendipity
ser・en・dip・i・ty
━━ n. 思わぬ発見をする特異な才能.
三省堂「EXCEED 英和辞典」
です。
ピザーラ・浅野社長、ドトール・鳥羽前社長、ワタミ・渡辺社長、セコム・飯田会長、ブックオフ・坂本社長、元禄寿司・白石元会長、それぞれの起業のベースにはユーレカ的発見があったそうです。今や日本中に当たり前にある宅配ピザも映画「E・T」の冒頭のシーンが取っかかりなんですって。
セレンディピティを補足するには
「チャンスの女神は前髪しかない!」
これには2つの意味があって
→①チャンスの女神が近づいてきていることを知る能力
→②チャンスの女神を捕まえる勇気・行動力
スケールのでかすぎる伝説的な起業家だけのお話しじゃなく、僕達の会社の中での「企業内起業家」って話をよくすることがあるんですが、根底は同じやなぁって感じながら読んでました。この講義、聞きたかったなぁ...
ユーレカ的発見のお話しでもう一つ興味深いお話しをネットで見つけました。
「ユーレカという名前のついた図書館やセミナー室が、世界の各地にあるのをご存じでしょうか。ギリシャの時代に、アルキメデスが金の王冠の純度を量る方法、 それをお風呂の中で突然考えついて、ユーレカと叫んで裸で飛び出したという故事に基づくものです。ユーレカは分かったという意味です。「分かった」には、 授業中に何か今まで分からなかったことを先生から聞いて、「なるほどそうか分かったぞ」という場合や、人の話を聞いて話の脈絡が分かったなど、さまざまな 意味があるでしょうが、アルキメデスのユーレカはそういうことではありません。長い間考えたけれども、どうしても分からなかった、あいまいだった、そういうことが明確に分かることです。自分が分かったということが、自分自身にはっきり分かるのです。皆さんは、そうした瞬間、そういう経験をすでにきっとお持ちでしょう。それが貴重ですね。だれが何と言おうとも、自分は分かった、その実感が自信となり、やがて人として、研究者としての自立につながるのだと思います。
分かったというのは、一種の快感だと思います。私自身にとってそれは現在でも生き甲斐のひとつですし、友人の多くもそのように考えています。アルキメデスのユーレカがそうであったように、分かったという至福の瞬間は、多くの場合、苦しい思いの後に前触れもなく突然訪れるのが一般的です。それは、深く深く考えた人にだけ訪れるご褒美のようなものでしょう。皆さんは、多くの学問領域の中から、たったひとつの領域を選択しました。ひとたび選択した以上は、そのことにためらいをもってはいけません。潔く、その領域に深く沈潜してください。それが、分かったという貴重な経験をするための、おそらく唯一の方法であろうと、私はそう考えております。」
(東京大学 小宮山総長 平成17年度大学院入学式 総長式辞より)