昨日のマーケティング戦略の授業で、旭山動物園の再生戦略について学びました。この授業はケースワークをガンガン取り組んでいく授業で、マーケティングの基礎理論を学んだ上で、実際のケースでどのような形で活かされているのかを考えていこうという授業です。僕はまだマーケティング系の授業はほとんど受講していないため、ちょっとついていくのに戸惑いながらも、その面白さにしびれています。
旭山動物園は1967年に旭川に開園されました。開業してから老朽化の進んだ旭山動物園でしたが、85年に菅野園長が就任し、再生への道が始まりました。動物園の動物はエサを探す苦労がなく行動のレパートリーが少ないという問題がありました。だから動物園の動物たちはいつもゴロ寝状態で、見る人にとっては退屈さを感じるものでした。そこで、旭山動物園では閉じこめて展示する鑑賞者本位の「形態型展示」から、動物が本能に目覚め、自由に行動できる環境を作る「行動展示」を目指すようになりました。
様々な斬新な取り組み、様々な改革の主体となったのは旭川市の職員として市に一括採用された旭山動物園の職員達でした。一括採用なので自らの意志で配属されたわけでもない職員達が動物たちと過ごしながら、来園者の感動に直面し、自らの職場を自ら改革していくことのできる参画意識、組織の連帯感、チャレンジ精神を発揮できる環境の中で職員のモチベーションの高い組織が生まれていきました。
95年に小菅新園長が就任し、その勢いはますます加速しました。前任の菅野園長の思いを更に推し進め、その理念はぶれることなく、動物園としてのドメインも更に焦点化され、ついに2004年には7月、8月と上野動物園を抜き入園者数日本一となりました。東京の人口はおよそ1300万人、かたや旭川は40万人にも満たない上に北海道に位置するということを考えるととんでもないことです。
北海道は冬の降雪というマイナス要因があるものの、そのマイナス要因をペンギンの行進というアイディアで、プラス要因に転じてしまう発想力、これらも全てモチベーションの高い組織が生み出したものでした。今年も6月、7月、8月と3ヶ月連続で上野動物園を上回る入園者数となっています。彼らのパワーはそんなに遠くない将来、上野動物園を年間入場者数でも上回ってしまう日がやってくるかもしれません。
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