昨日は金融工学の授業に出席しました。この科目、じつはM1の時に既に履修済みで何とか単位は取得したのですが、オプションのところをもう一度しっかりと勉強しておきたかったので、担当のK教授にお願いして聴講させてもらっています。
オプションとは、デリバティブの一種で、ある原資産について、あらかじめ決められた将来の一定の日又は期間において、一定のレート又は価格(行使レート、行使価格)で取引する権利を売買する取引のことです。いままでは金融のジャンルの中で用いられる取引形態でした。金融工学で使われるオプション価格付け理論を、金融以外に応用したものがリアルオプションです。
不動産価格の算定でもDCF法からリアルオプションの考え方を取り入れた評価方法だと評価価格が変わってきます。不動産の使途の選択肢が増えるとオプション価値が発生します。この考え方を企業の意志決定のツールとしてとらえることができます。R&D,マーケティング、事業投資、設備投資などの「機会」の創出はオプション価値と考えることができます。
DCF法では「今日投資するか、永久に投資しないか」という二者択一を前提とするのに対して、リアルオプション法では投資決定を先延ばしにする柔軟性も取り入れながら、将来の不確実性を価格化した時間価値を織り込み、また場合によっては権利放棄で損失を限定してしまうという非常に現実的な考え方です。
従来の経営の考え方では不確実要素はとにかく回避というのが前提でしたが、オプション価値はボラティリティが大きくなると価値も大きくなります。それだけの選択の幅が増えることが価値であるという考えです。リアルオプション的見地に立った経営視点がこれからは必要になってきますね。