報道でも取り上げられるほどの野菜の高騰の最大の要因はご存じの通り、12月から続く冷害、雪害によるものです。一昨年の夏は観測史上例を見ない(よくこのフレーズ耳にします)数多くの台風の上陸がありました。それによりとてつもなく野菜が高騰しました。
このようなことは自然条件の下で栽培される青果物には宿命とも言える問題です。青果物は需要曲線と供給曲線の均衡点で価格が決定されるというように理屈通りにはいきません。価格がいくら高騰しようとも、供給力は増えてはこないし、価格が下落しまくっても、ある程度以上は需要も拡大しません。
台風の時も、今回の冷害でも価格が高騰するのは必要な需要量に対して、充分な供給がなされていないことから起きていることです。気を付けなければいけないのは、台風の時は雨風で完膚無きまでに生育途中の青果物から、これから大きくなろうとしている苗に至るまで被害を受けたことによって、新たな植え直したものが成長してくるまで収穫ができなかったということです。今回の冷害は降雪で凍傷になって出荷不能になったものもあるものの、冷え込みのために青果物が期待していたとおりの成長ができていない、つまり「出遅れ」ている状態なんです。出遅れはどこかのタイミングで必ず出てきます。
高騰相場の裏側には急激な価格下落という可能性を孕んでいます。真っ当な価格形成って何なのっていつも思うのですが、報道でのとらえ方が、視聴者の注意をひくために、どうしてもニュースソース自体を加工してしまってる部分が多分にあって、増幅されすぎている部分があるように感じます。こういった報道が消費者心理をあおって、価格の高騰に拍車をかけてしまうということもあるように思えます。
早くこんな状態が一日も早く収束して欲しいものだと思います。適正価格でたくさんの青果物を食していただくことが、青果物流通に関わるものとしての真なる願いです。
さっそく、来ましたー。
この後の価格下落を見込んで、
必要以上に価格を高くしていたり…
などということもあるのでしょうか?
アパレルなどは、
売れ残ってバーゲンになることを見越して
価格設定したりということもありますが。
適正価格を決めること、
適正価格を維持すること、
どちらも、本当に難しいですね。
投稿情報: ichi | 2006年1 月12日 (木) 13:10
こちらでは初めまして。
以前TBいただきましたfoodishのishと申します。
TBを機会にこちらを拝見させていただいていますが、シンプルでストレートな写真とわかりやすい解説が興味深いです。
今回の内容中、特に「出遅れ状態」とのお話、なるほどなあと思いました。消費者としては安くておいしくて安全であることが一番いいんですが、作っていらっしゃる側からすれば、「そんなうまいこといくか!」っていう我侭ですもんね。今回のような事情で高騰しているからといって、作ってる側が喜んでいるわけではない。
何がどうなったらいいのか、難しい問題ですね。
投稿情報: ish | 2006年1 月12日 (木) 18:36
ichiさん
価格下落を見込んで必要以上に価格を高くするようなことはないですね。逆に相場が必要以上に暴走気味の時は、その反動をできるだけ抑えるために、高値が付きすぎないように調整することはあります。まさに今がそんなタイミングですね。
ishさん
コメントいただき有り難うございます。ishさんのブログはいつもチェックさせていただいています。今日のランチは?...って時にはよく助けていただいています。
供給が不安定な青果物は、その不安定な要素をヘッジするという意味合いで流通が複雑化しています。その複雑な流通構成も確実にシンプルな方向に向いています。過去に比べて情報が伝わる速度が格段に速くなり、農業の技術面でのイノベーションも確実に進んできています。
それでも解消されない今回のような問題はどうにも悩まされます。輸入野菜などの効率的な活用も食糧自給率という問題と裏腹で、下がる自給率の背景には農業が産業として成立しづらいが故の後継者問題などがあります。
需要と供給を結びつける情報網が青果物は他産業に比べてかなり劣っています。ここらあたりのところをもっともっと整備していって、更なる安定供給をしていくのが僕たち流通の中間にあるものの仕事だと思います。
投稿情報: VEGE-MASTER | 2006年1 月13日 (金) 10:09