全国各地にある卸売市場は青果物を集荷して、それを価格評価し流通させる機能を持っています(肉と魚の分野はよくわからないので青果物の分野だけのお話とご理解下さい) 生産者や出荷団体(JAなど)が青果物を委託して価格を市場の評価で決定するというシステムです。相対販売のウエイトが大きくなり出荷サイドからの指し値が入ることもありますが、基本はこの形です。
セリ売りは基本的には商品価値をそのタイミングでの市場価格に正確に反映する機能を持っています。ただ、ロットの大きい取引には、大量購入者が高値で落札することになってしまうという構造的な欠陥もあります。ロットの大きい取引のウエイトが大きくなってきたため、集荷会社は大きなロットで出荷する力のある大型産地に商品価値以上の評価を与えざるを得ない状況が出てきます。
大型産地が取引上のアドバンテージを持つことに対して違和感はないんですが、組織の大きさ故、商品レベルの管理が行き届かないケースが多く、結果的に商品価値と市場評価にズレが生じてしまう事が起こります。
一方、市場には個人荷主ベースの青果物も出荷されてきます。こうした商品群は出荷ロットが少ないため、集荷会社もきちんとした販売体制が整っていないように思えます。その中には確かに商品価値の低い物もあります。しかし、その中にはとんでもなく素晴らしい青果物が見つかることがあります。
何年か前のことですが、脱サラをして、農業に取り組み、こんな物作りをしたいんだと志高い生産者の方が出荷して来られた高糖度トマトがありました。まだまだ、技術的にも改善すべき点も多く商品としての価値は不充分でも、その志は大いに伝わってきました。商品化に向けての試行錯誤は続きましたが、結果としては、出荷は続きませんでした。
農業の世界でのビジネスインキュベーターの整備はほとんど皆無といった状況だと思います。業界の中でこんな発想が生まれてこなければ明日の農業に光は差してきません。本当に危機的状況にある産業なのに。
おはようございます。
事後報告ですが、赤茎ほうれん草など、文中にリンクさせていただきました。
投稿情報: かすたあど | 2005年10 月11日 (火) 08:15