昨日の金融工学の授業ではNPV(正味現在価値)とIRR(内部収益率)による投資意志決定のケースワークを行いました。どちらもファイナンスにおける意志決定の基本的なツールです。
NPVは現在から将来にわたるまでに生み出すキャッシュフローを現在価値に割り引き、その合計によって投資意志を決定する手法で、最もベーシックな意志決定の方法の一つです。一方のIRRとは投資額と将来にわたって得られるであろうキャッシュフローの合計が等しくなる収益率を算出しその収益率によって意志決定を行おうとする手法です。
こうした意志決定は企業全体の意志決定のみならず、プロジェクトへの取り組みや、不動産や物品の購入に至るまであらゆる意志決定のツールとなります。基本的にはどれ程のNPVを生み出すかによって意志決定するのを基本に考えるといいと思いますが、長期にわたって安定的なキャッシュフローを生み出すような案件(例えば年金など)はIRRを用いた方がより正確な判断ができます。
昨日のケースワークではある企業を仮定して、その現業部門が一定の金利下で事業によって生み出すキャッシュフローのNPV、IRRを算出し、また財務部門のこの事業に合わせた銀行からの資金調達によって生み出されるキャッシュフローを現業部門のキャッシュフローと合算し企業全体のキャッシュフローを導きだし、企業全体のNPVとIRRを算出しました。これらの点をふまえて事業の実施の是非をディスカッションしました。
ディスカッションの中で財務部門の資金調達力の重要性を痛感し、財務活動によっても現業部門の生み出すNPVに更なる上積みが可能で、低金利の資金調達が意志決定に関わる数値算出に大きく影響を及ぼすということを目の当たりに学びました。
うらやましいです。
私もこっちの世界のほうが好きです。
後半の年金云々の話は具体的ですごく分かりやすいですね。
ところで、悪い癖がむらむらとでてきました。
こういう文章にけちをつけるのが前の仕事だったもので。
まず、意思決定の意思は「志」ではなく、何を考えたかということですので、「思」。
そして、IRRは内部収益率という訳はわかりにくい、ということで西山茂教授はじめいろいろな研究者や実務家と盛り上がりました。
で、投資収益率ではどうかと考え、そう表記した本もあったのですが、結局もともと定着している内部収益率という言葉での説明が多いようですね。残念。
鬱陶しいと思いますので、削除してくださいませ。
投稿情報: takeyan | 2005年10 月 6日 (木) 16:36
鬱陶しいなんてとんでもないですよ。
意思は「思」はまさに目からウロコですよ。日々余り気にとめずに与えられる言葉を与えられるがままに使っていると、とっても大切な「気づき」を見落としてしまうんですね。
IRRだって同じです。実際のIRRという言葉の表す中身を考えてみると投資収益率という表現の方が的を射ているように感じます。
学ぶことの基本姿勢は自分で咀嚼していく事が大切だと思います。自分の事に置き換えると、私は学者になる勉強をするために今の学校に通っているのではありません。実務家としてのブラッシュアップのために行っている勉強なら尚更のこと、そんな姿勢で居続けたいと思います。
こんな話で盛り上がれる機会を持たれたtakeyanさんが羨ましく感じます。授業が終わって一緒に勉強する人たちと飲みながらこういった話をするときにこの年になって大学院の門を叩いて良かったと心底感じます。
コメント、本当に有り難うございました。
投稿情報: VEGE-MASTER | 2005年10 月 7日 (金) 09:13